いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)

いびきは“うるさい”、“隣で寝ている人にとって迷惑”といった困りものではありますが、いびきの問題は、いびきの延長上に睡眠時無呼吸が潜んでいるかもしれないという事です。睡眠時無呼吸があると、日中の眠気がひどく仕事に支障が出る、学校で居眠りをする、居眠り運転で事故を起こしそうになるといった事が起こりえます。また睡眠中に呼吸ができていないため、体にとって大きなストレスがかかり、血圧が上がる、脂質異常、糖尿病といった生活習慣病につながる事が知られています。それをきっかけに心筋梗塞、脳血管障害といった致命的は病気につながります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に10秒以上の無呼吸、低呼吸が何度も繰り返される病態の総称で、昼間の強い眠気により日常生活に様々な支障を起こし、心疾患や脳卒中といった致死的な心血管系疾患につながるといえます。

 

■睡眠時無呼吸の分類

以下のように3つに大別します。

1.閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)

上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)が閉塞して無呼吸になる。

2.中枢性睡眠時無呼吸

上気道の閉塞がないにもかかわらず、無呼吸をおこす。呼吸中枢の機能異常により起こるが、無呼吸時間が割と短く、心不全を除けば、閉塞性のように脳や心臓への負担は少ない。

3.混合型

閉塞性+中枢型

■原因(閉塞性)

・肥満(顎の下、舌周囲に脂肪がたまり、咽頭腔が狭くなる)、舌の大きさ、咽頭腔の広さ、鼻閉、飲酒、睡眠薬内服、疲労など

・顔面骨、下顎骨の形態

■症状

ご家庭でできる睡眠時無呼吸症候群(SAS)のセルフチェック

日中の強い眠気、大きないびき、起床時の頭痛、熟眠感がない、集中力の低下、起床時ののどの乾燥感、夜間頻尿など

高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病

■診断

まず問診、視診(舌の大きさ、咽頭腔の大きさ、鼻腔の形態、下顎を含めた顔面骨の形状)

次に簡易睡眠検査:SASが疑われる方にスクリーニングを行う検査です。自宅でセンサー

を装着し、一晩寝ていただいて、呼吸の状態、血中の酸素量を測定します。

スクリーニングで疑いになった方は終夜睡眠検査(PSG)を行います。脳波、心電図、酸

素飽和度、呼吸、筋電図等を調べる検査で,睡眠の質、睡眠時無呼吸の程度がわかります。自宅でできるPSGと1泊入院しておこなうPSGがあります。

これらの検査から睡眠中の1時間あたりの無呼吸、低呼吸の回数がわかります。

その指標をAHI(無呼吸、低呼吸指数)といいます。重症度分類は以下のようになります。

  • AHI5以上:SASが疑われる
  • AHI5~15未満:軽症
  • AHI15~30未満:中等症
  • AHI30 以上:重症

 

■治療

検査の結果から治療方針を決めます。治療にはCPAP、口内装置、手術、減量などとなります。

・CPAP(continuous positive airway pressure)持続陽圧呼吸

鼻にマスクを密着させ、マスクを通して空気を送り込み、呼吸にあわせて持続して一定

の圧をかけて気道が塞がらないようにする治療法。中等症~重症に対する標準治療。

・口内装置(マウスピース)

軽症~中等症に適用されます。下顎を前方に引き上げ、落ち込んだ舌を引き上げ、気道を広げ、いびき、無呼吸を防止する治療。治療法は重症度によって選びますが、肥満はないが顔面骨の形態的な問題で無呼吸になっているような方、すなわちマウスピースにより上気道の形態の改善が見込める方にはいい治療法といえます。

・手術※適切な専門施設に紹介致します。

鼻中隔弯曲矯正術

高度な鼻閉の原因となっている鼻中隔弯曲をなおし、鼻呼吸の改善を目的とした治療法。

口蓋扁桃摘出術

著しい扁桃肥大に対して行う治療で口峡の広さを拡大する効果があります。

舌下神経電気刺激療法

近年開発された新しい治療法で、閉塞性睡眠時無呼吸に効果があります。

舌下神経を電気的に刺激する電極を鎖骨の下に埋め込む手術で、睡眠中の呼吸と連動して電気刺激が舌下神経を刺激し、舌を前方に出してのどを広げる治療です。

適応は下記に該当する方です。

・OSAS中等症以上の方

・CPAP継続がどうしてもできない方

・18歳以上で、BMI 30kg/㎡未満

・重度の解剖学的異常がない方

 

小児の閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)

小児の閉塞性睡眠時無呼吸は成人とは異なり、ほとんどは口蓋扁桃肥大、アデノイド増殖症が原因となっています。肥満も関与します。

風邪やアレルギー性鼻炎と関係なく、普段からいびきをかいている、いつも口呼吸している小児は閉塞性睡眠時無呼吸かもしれません。口呼吸が常態化すると顎の発育が悪くなり、その結果、成人期でもいびき、睡眠時無呼吸を発症してしまいます。親御さんにとって小児期の手術は不安でありますが、適切な時期に口蓋扁桃摘出、アデノイド切除術をすることで現在の睡眠時無呼吸を改善、将来の睡眠時無呼吸を予防できると考えます。