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舌下免疫療法の紹介

現在、国民の25%以上がスギ花粉症といわれております。
アレルギー性鼻炎はスギ花粉や、ダニといったアレルゲンによって引き起こされます。スギ花粉やダニに対するアレルギー体質といった状態です。
今までは一般的な治療法として、抗アレルギー薬の内服やステロイド点鼻、レーザー治療を含む外科的手術などが行われておりました。
これらの治療は症状を抑えているだけで、アレルギー体質を治すような根治的な治療法ではありません。
ですから治療を続けていると症状が軽快しますが、薬の治療をやめるとまた症状が再発・悪化するわけです。

これに対し舌下免疫療法は、アレルギーの原因となっているスギ花粉、ダニといったアレルゲンを少量含んだ錠剤を舌下において体内に吸収させ、少しずつゆっくりと体質を改善する治療法です。
WHOも「対症療法(抗アレルギー薬など)と根本的に異なり、疾患の自然経過も修飾する可能性がある唯一の治療様式である」と述べております。
要するに今までのような症状を抑える治療ではなく、根治が期待できる、または症状が軽快し抗アレルギー薬を減らすことができる治療法ということになります。

また、何か1つでも(スギやダニ、他)アレルゲンがあると、将来カモガヤ、カビといったほかのアレルゲンが増加する事があります。免疫療法はその進行を抑制するという報告もあります。
特に小児でダニなどのアレルギー性鼻炎があるならば、特にメリットがあるのではないでしょうか。
抗アレルギー薬を長年服用されてきた方で、「このままいつまで続ければいいの?」と疑問や不安をお持ちの方は、舌下免疫療法を始めてみてはいかがでしょうか。

どういった方にお勧めか?

  • まずスギ花粉、ダニのアレルギーを血液検査で診断がついている方(必須)
  • スギ花粉、ダニによるアレルギー性鼻炎で、軽症-重症問わず、そのアレルギー体質を治したい方(根治希望)
  • 今まで長期間の薬による治療をしてきたので、もう続けたくないという方
  • 今までの薬の治療で効果が出にくかった、副作用で眠気が強く継続できなかった方
  • まだ子供なのに、この先ずっとアレルギー症状に悩まされるのが心配
  • 将来の受験に向けて今のうちに治したい、軽減させたい
  • 将来、妊娠した際に薬が使えないのが心配という方

ただし、重症喘息の方、重い心疾患/高血圧などの循環器疾患の方、抗がん剤、免疫疾患で治療中の方、全身ステロイド剤による治療中の方、β遮断薬、抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬など服用している方、妊娠中の方、5歳未満、65歳以上の方は適さないのでご注意下さい。

効果はどの程度か?

  • 開始から3か月程度で効果を感じるようになります。
  • 80%の方に効果があります。
    症状がなくなった(治癒):20%
    かなり効果があった~効果があった:60%
  • 効果がなかった:20%

治療の流れ

  • 1初回は、鼻腔内の診察、治療内容、注意点の説明し、検査でスギ花粉、ダニアレルギーの診断を確認します。
    舌下免疫療法の内容のパンフレットを差し上げますのでご自宅でよくお読みください。
    →過去のアレルギー検査結果があればお持ちください。
    →紛失された場合は改めて血液検査を行い、必ずスギ花粉、ダニが陽性であることを確認します。(必須です)

  • 2治療開始日を決めます。
    (スギ花粉の飛散期1月~5月中旬頃までは治療開始ができません)

  • 3初回投与時は副作用が起こりやすいため当院で内服し、院内で30分経過を見ます。
    →初回治療日はお早めの受診をお願いいたします。

  • 4低用量を1週間服用し、1週間後に再診していただきます。

  • 5それ以降は高容量の服用となります。
    →以降、原則1か月に1度の通院をしていただきます。
    しかし、副反応が強い方は初めの1~3カ月は2週間ごとに診察をしていただく可能性があります。

  • 6まず2~3年間治療し、できれば5年は継続していただきます。

副作用

  • 口の中の腫れ・かゆみ、咽頭、耳のかゆみがほとんどです。ダニ治療の方が多く生じやすい傾向があります。
    重大なアナフィラキシーショックの報告はありません。皮下注射より舌下法の方が安全性は高いのですが、起こりうる可能性がありますのでご注意ください。アナフィラキシーが疑われる場合は、救急支援病院や、病院用携帯に連絡または救急車要請の必要があります。
    →アナフィラキシー:多くの場合30分以内におこります。蕁麻疹、呼吸困難、脈が速くなるor乱れる、低血圧(気が遠くなる)、顔面蒼白、意識混濁など
  • 一番危険なのは、服用を忘れた、又はできなかったのでその分を取り戻すために複数錠を一度に服用する、服用後すぐの運動、飲酒、入浴等です。感冒時も無理しないようにご注意ください。

治療を受ける前にもう一度確認しましょう

  • 検査でスギ花粉、ダニアレルギーと診断がついている方
  • 治療効果は即効性がないこと
  • 治療には最低2~3年、できれば5年間の継続が必要
  • 毎日服用すること
  • 原則1か月に1回の通院が必要であること
  • 1月~5月のスギ飛散期のような体が過敏な状態に治療開始はできない(スギ陰性でダニ陽性の方は時期の制限は原則ありません)
  • 約20%の方に効果が認められない(→2年治療して効果なければ中止とする)
  • 安全性が高く、重大な副作用の報告はないが、起こりえる可能性はあるので注意点をよく理解し、正しい服用方を守り、無理のない計画で服用すること